【掌編】晩秋の海、日の入り【11/11日記】

【掌編】晩秋の海、日の入り【11/11日記】

2021/11/12

冬が近づく前の、11月の海はうらさびれてさみしい。でもそこに風情を感じてしまう。流れ着いた流木、異国の文字のラベルが貼ってあるペットボトル、海藻やゴミが打ち捨てられている、そのさま。スニーカーに砂がつくのもかまわずに、凪いだ海のそば、波打ち際を歩く。海鳥が並んで、岩場に止まっている。この鳥たちの冬の越し方を、私は知らない。
夕日がとろとろと、その姿をふやけさせながら水平線の向こうに沈みかける。うすい光の束を、こちらにも投げかけながら。昼間は貼れていたが、夕刻では雲が空のあちらこちらで覆い被さっっているが、夕日だけは隠されないでいる。
11月という季節は、悪くない。豊潤とした秋がだんだん枯れていき、山も里も海も、だんだん暗いトーンに色を変え、冬支度をする。海へ向かう坂道、古い家屋の軒先には干し柿がいくつも吊るされる。

思い立って、砂浜から港の桟橋のほうへと歩いて向かった。日が暮れる前に、晩秋の海の美しさを存分に感じたい。頬を切る風が冷たさを増し、凪いでいた海にも木枯らしが吹いて、少しずつ水面が動いて模様をつくる。
木製の桟橋を歩いていくと、沈む太陽が海の上に光の道を投げている。ムーン・リバーじゃない、サン・リバーだ。サンセット・リバーといっていいのかはわからない。空はうす紫から、だんだんその色を濃くしていき、水平線のちょうど上は沈み終える太陽を惜しむように、金色に光り輝いている。
きれいな一日の終わりに立ち会えて、よかったと思う。

日の落ちた海辺から、動きがたくてそのまま海と空を眺める。桟橋に並ぶあかりがぽつぽつと灯り始めて、水平線の向こうの山は茜色の空を背景として、影となって浮かんでいる。帰らなくちゃ。そう思うのに、どこか立ち去れないでいる。
一気に暗くなってきたのを感じて、私はようやく自宅へと歩き始めた。今夜は、温かいものを食べよう。小腹がすいたから、コンビニによって何か買おうか。もう肉まんが並んでいる季節だから、それを買い食いしようか。少しさみしい11月の夕暮れ、潮の匂いをまといながら、コンビニの青い明かりを目指した。踏切がカンカン音を立てて鳴り始め、私は立ち止まる。遮断機が上がったら、コンビニはすぐそこだ。
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こんにちは、上田です! 今日はMedyを更新しました。
毎日は続けられないのですが、不定期でこうして書く場所があるというのはありがたいですね。掌編(ショートストーリー)がすごく好きなので、手ならしにいいです。
私は、日中の短期の事務バイトが決まりまして、ちょっと来週から働いてきます。日々生活していると、お金はどうしても要り用ですよね……。
そんな中でも、noteやMedyの更新はなるべく楽しく続けられたらと思ってますので、みなさま今後ともよろしくお願いします。
昨日は某企画の原案を練っていましたが、上手く形にならず、諦めて自分の学びたい分野の学習ノートを作っておりました。どれも、楽しく続けられたらと思います。
来週は、とても楽しい予定も火曜日、そして水曜日にあるので、いまからとってもわくわくしているんです。ひとつはお友達と実際に会う、もうひとつはZOOM会をやる予定でして、その分今週は巻きでいろいろなことを片付けています。
そうそう!PHP研究所の月刊雑誌「PHPくらしラク~る♪」12月号より、全4回(三か月に一回)の連載が始まりました!「わたしの暮らしを支える、この一冊」という、本の紹介の連載です。ぜひ、いろいろな方に見ていただきたく、広報しております(笑)詳しくは下記noteからどうぞ。

もう年の瀬も押し迫り、昨日は自分のお仕事に加えて、喪中はがきも用意しました。そんなに多くはないですが、近日中に届くお友達もいるのでは、という感じです。祖母が今年の六月に亡くなったので、今年は年賀状を出せないです。
冬、北陸では雷や嵐の荒天の日が続くことが多いですが、その分、どんどんお刺身に脂がのって美味しくなります。カニも季節です。北陸に生まれて、北陸をやっぱり愛していきたいなあと思う、私なのでした。
というわけで、11/11の日記でした。またどうぞ、よろしくお願いします。
※掲載写真は写真ACさんからお借りしております。

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