【掌編】ひとりカフェ/【10/19日記】

【掌編】ひとりカフェ/【10/19日記】

2021/10/20

金木犀の香りが、風にのってかすかにただよっている。ふわりとショールをまとうようにその香を私もまとう。10月の晴れた午後ほど、神様に祝福されているような季節はない。光降る空は、吸い込まれそうなほど青く、ちぎれ雲がぽかりと浮かぶ。
ただ、この日を贅沢に味わいたくて、運動公園をぐるりと散歩したあとに気に入りのカフェに寄るというプランをたてる。犬を連れた若い女性が、芝生の上を軽快に駆けていて、見ているこちらも微笑ましい気持ちになる。犬はダックスフントで、短い脚を懸命に動かしている。
こんなちょうどいい気温の季節ばかり続けばいいのに、とやくたいのないことを思う。少し前までは歩くと残暑で汗をかいていたのに、季節の移り変わりは早い。気が付いたころには、もう暑さは、遠ざかっている。

ひいきにしているカフェに入るのは久しぶりだ。歩いて喉が渇いているけれど、ここは温かい飲み物を頼む。なみなみと、日本産の紅茶をティーポットでたっぷりと。紅茶は各地のものを飲み比べたあげく、最近は日本の紅茶にはまったりしている。

焼き菓子がなくては、はじまらない。そう思って、しっとりしたパウンドケーキもひときれ頼む。午後の時間が、一秒一秒ゆっくりと進み、上がっていた私の息も落ち着き、呼吸が楽になる。ケーキは甘すぎない。ホットの紅茶はもちろん無糖。でも、紅茶を飲んでからケーキを口に運ぶと、ほの甘さに思わず頬がゆるんでしまう。
金色の午後、ふいにそのような言葉が浮かんでくる。余計なものがない、幸せが多すぎもしない、完璧な午後のティータイム。友達や恋人と来るカフェも楽しいけれど、私は一人でカフェに来るのが好き。そうして、見つけたカフェを誰かに教えてあげるのが好き。
少し暗い店内からは、なおさら外の光がまぶしく見える。遠くに見える運動公園で、子供がフリスビーで遊んでいる。あ、転んだ。でも、すぐに起き上がって笑っている。こちらも目を細めながら、さっきの運動公園の木々が、紅葉に色づいていたことを思い出す。
あっという間に、木枯らしが吹いて冬が来るだろう。そのあいだに、もう一度くらい金色の午後を味わいたいな。そう思いながら私は空になったカップに、ポットから紅茶を注ぐ。
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みなさま、こんにちは。
今日も掌編(ショートストーリー)を更新してみました。いかがでしたでしょうか。
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ちょっと実験的に使ってみてるのですが、またよろしくお願いします。
そして、昨日の日記を書きます。
昨日、10/19はちょっとくたくたに疲れまして。通院してる病院があるのですが、ちょっと諸事情でお昼と夕方の二回行くことになっていて。しかもお昼に行ったときに、はんこを書類に押してくるのを忘れたものだから、一度、自宅に帰らないといけなくなり。
はんこを忘れた自分を呪いたくなるほど、めっちゃ疲れました……
夜は、大学時代の先輩が書いた文章の下読みを、夫と一緒にしながら、彼女に「何を伝えたらいいか」と二人でディスカッションしました。夫と、こういうことで討論する機会はあまりなかったので、新鮮だったし、何より彼の考え方やっぱりいいな!と思えてよかったです。
そして、疲れて帰ってきているのに、なぜか一番食べたいものが唐揚げで、唐揚げ粉を使って揚げるという暴挙(自分に対して)
唐揚げ、いままでは自分で衣や味付けをブレンドしてやっていたのですが、もう面倒で(笑)
唐揚げ粉を使うと、水を粉にまぜて鶏にからめるだけ、という短い手順でおいしくできちゃうので、もう離れられません……
夜はバタンと倒れて、爆睡しましたよ……
というわけで、10/19の日記でした。また次回、お会いしましょう。
※掲載写真は写真ACさんからお借りしております。


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